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「スポーツ案内人」 power×白戸太朗氏

みなさんお元気ですか。私も元気です。
緑の萌える5月は、白戸太朗氏のインタビューをお送りします。
トライアスロン界では知らぬ人はいないプロトライアスリート白戸氏、自転車の世界の諸兄にもj-skysportsのレースの放送における軽妙的確な実況で馴染みがあるでしょう。
白戸氏のご経歴については、ご本人のウェブサイト、太朗.netの中のプロフィールで詳しく紹介されているが、どのような方なのか、今からのインタビューの前に是非確認しておいて頂くと、3000億倍楽しめるでしょう。
さて氏の肩書きであるところのスポーツナビゲーターとは何なのか。自転車競技とトライアスロンの接点は何なのか。実況を通して世界最高峰の自転車競技をどのように見つめるのか。・・・など、ジャーナリストして活躍される白戸太朗氏の心の内にpowerが静かにしかし着実に近づくインタビュー200205!



power
「白戸さんこんにちは。大変にお忙しい中、お時間を頂きまして今日はどうもありがとうございます。よろしくお願いします」
白戸
「いえいえ、こちらこそどうぞよろしくお願いします」
power
「さて、白戸さんと言えば、大変有名なトライアスリートでいらっしゃる一方で、最近ではメディアの方へと様々な方面でご活躍されていますよね。簡単に自己紹介をお願いできますか」
白戸
「『プロトライアスリートのしらとたろうです』と自己紹介出来たのは昔の話。今ではその魅力を多くの人に伝える立場になりました。それもトライアスロンだけでなく、サイクルロードレースやアルペンスキーなどなど様々なスポーツに携わっています。まあ、趣味を追求しているといえばそれまでですが(笑)」
power
「いやはやー。趣味を追求して、そこまで行くというのはかなり羨ましい気もします」
白戸
「最近は『天然スポーツ文化人』という訳のわからん説明をつけられる事もありますね。でも、もちろん今も走りつづけていますよ!」
power
「文字通り走りつつ、同時にご自身の人生を駆けていらっしゃると。そういうことですね!さてさて、天然スポーツ文化人でいらっしゃる白戸さんは、どうしてトライアスロンを選択されたのでしょうか?」
白戸
「中学から大学までずっとXCスキーをやってまして、そのトレーニングの一環として始めました。スキーの夏季トレは単調でマンネリ化しやすいので、モチベーションUPの目的が強かったですね。お陰で始めた当初、スキーの成績も伸びましたが、その後はトライアスロンにハマリすぎて、興味が移ってしまったんですよ」
power
「これは、興味深いですね。ところでここでXCスキーというのは“エクストラオーディナリー・コンポジション”和訳して“バチグンの作文”ではなく、クロスカントリー・スキーの略ですよね!加えてモチベーションUPのUPとは"Unpredictable Prophecy"和訳して、“予測できない予言”ではなく、モチベーションの高揚の意味ですよね!」
白戸
「もちろんです!」
power
「万が一間違える人がいたらいけないと思って解説させて頂きましたが、結局話の腰を折ってしまいました。失礼しました。スキーから入ってトライアスロンへ。興味深い流れですね。使う筋肉も似ているのだとすると、スムーズに移行されたのでしょうか。さて、もう少しトライアスロンについてお聞きしてみたいと思います。ロードしかあまり知らない私なのですが、白戸さんはトライアスロンと自転車競技の違いをどのように認識されていますか?そういえば、マイヨジョーヌでおなじみのランセ、もとい、ランス・アームストロングはトライアスロン出身なんですよね。繋がりが大きい気もするのですが」
白戸
「トライアスロンは個人競技、自転車は団体競技そして、トライアスロンは自分との戦い、自転車は人との駆け引きという感じでしょうか」
power
「なるほど。より個人性が強いのですね。少し幼稚な質問なのですが、トライアスロンはしんどいのでしょうか?」
白戸
「そうですね、自転車と違い常にがんばらなければいけないので、しんどいと言えばしんどいですよ。でも、自転車と違い、ペースの上下が少ないし、人のペースでは走らないのでので楽と言えば楽!?」
power
「なるほど。単にしんどいということで括ってはいけないんですね。スイム、バイク、ランのうち、どれが一番好きですか」

スイムを終える白戸氏
白戸
「どの種目も違った面白さがあるので好きですね」
power
「と、おっしゃいますと?」
白戸
「スイムは重力を感じない、不思議な感覚が」
power
「ふむ」
白戸
「バイクはあの風をきり走っていく気持ち良さ」
power
「ふむふむ」
白戸
「ランニングは自身との会話をするのがいいんですよ」
power
「ははあ。それぞれの種目に面白さが宿っている、ということですね!最後のランニングで、自身と会話すると言うところが興味深いですね。自転車の競技中にも考えたりはしますが、会話するところまで余裕が無いのが本音です。TTでは会話するのかもしれません。それで、レース中にはどんなことを考えておられるんですか?」
白戸
「まあそんな訳でいろいろな事があるのですから、当然いろいろ考えます」
power
「例えば?」
白戸
「自分の身体に問いかけたり、フォームを考えたり、これまで練習してきた事を思い出したり、家族や仲間の事を思ったり、ビールやPartyの事なども。暑いレースの最中に『クーラーのガンガン効いた部屋で、ぱりっとしたシーツに転がりながら冷えたビールを飲む』なんてこともありますね」
power
「死ぬほど寒い練習の時に『湯気の立った温かいシャワーを浴びる』と考える私に似ていますね!」
白戸
「でも、調子がいいときは集中出来ているので、時間があっというまに過ぎていきますが」
power
「・・・・そうですか。トライアスロンは面白いですか?」
白戸
「そりゃもう~」
power
「その口調からすると、相当面白いみたいですね」
白戸
「ひとつで完結することなく、いくつもの種目が混在し、長時間にわたって競技する。つまり長い競技の間に、いくつも気持ち良く走れる瞬間や苦しい時があり、なんどもトラブルや発見があり…ほんんと「プチ人生」ってかんじです」
power
「と、おっしゃいますと?」
白戸
「辛いところをじっと我慢していると必ずいい感じで走れる時がある、山と谷を経験しながら進んでいくんですよ。まあこれは、私が最近ハマっている「アドベンチャーレース」はもっとこの要素が強いんですが」

アドベンチャーレースの白戸氏
power
 「アドベンチャーレースと言えば、あのアウトドアのマルチスポーツレースと呼ばれるやつですね。面白そうです、やってみたいです。そういえば伊豆で開催されてるんでしたよね、見てみます。さて、レースをしている限り、順位を意識しないわけにはいきません。勝つことはどれくらい重要ですか」
白戸
「もちろんそれを目標に活動しているわけで、大切な事です。生活もかかってますからね!ただ、もっと長い目でみるとそれに向けて努力している過程の大切さが身にしみてわかってきました。『目標達成』そのために、いろいろな創意工夫をするという作業が自分を非常に成長させてくれたし、多くの仲間を得る事にもつながったと思います。もし、適当な生活を送っていたら、今、僕の周りにいる素晴らしい仲間とは会ってもいないだろうし、つきあう事など絶対にありえなかったと思いますよ。でもそんな事に気づき、本当に理解するのはある程度、年齢と経験が必要なのかなとも・・・という事は私もオヤジです!」
power
「おっしゃることがわかる気がします。課程に目を向けたときに、その価値が浮かび上がってくるんですね。結論としては、白戸さんは、オ、ヤ、・・ジ。と。メモメモ。さて、面白過ぎる冗談はこれくらいにして、現在東京在住でいらっしゃいますが、スポーツ環境はどうでしょう?練習場所は確保できますか?」
白戸
「確かにかなり難しいですね。休日の大井埠頭や早朝の皇居など、限られてますからね」
power
「それは確かに限られていますね」
白戸
「でも、東京には仲間とアクセスの良さという武器があります。練習する仲間を探したり、国内外に移動するときの便利さはピカイチでしょう。早朝の皇居には必ず誰かが走ってますから相手には事欠きませんし。デメリットを気にしすぎないで、メリットを最大限に利用したいですね」
power
「なるほどー。困難は乗り越えてゆく、という感じですね。私も見習いたいです。興味深い話、ありがとうございました。次に現在の白戸さんについて少々質問させてください。まず、誰もが気になっているかとは思うのですが、スポーツナビゲーターとは、分かりやすく言うと何ですか」
白戸
「スポーツ案内人です!」
power
「そのままや!もう少し詳しくお願いします!」
白戸
「はい、ここでの案内とは、技や技術、練習方法を教えるインストラクター的な活動だけでなく、スポーツの楽しさやスポーツの正しいあり方を提唱、分析していくジャーナリスト的な活動も含まれます。つまり現場からメディアまでをフィールドに、皆さんを本当のスポーツの世界に導いていく、そんな活動を総称して『スポーツナビゲータ』と名付けました。まあ、私が言いだしっぺなので世界初のスポーツナビゲーターで、現時点では唯一という事ですね(笑)」
power
「唯一のスポーツナビゲーター。魅力的な活動をなさっているのですね。ところで、どのようないきさつでスポーツナビゲーターになられたのですか?」
白戸
「プロトライアスリートとして活動している時に、世界中の人と会い、いろいろな文化と触れ合いましたが、そこで日本スポーツの矛盾点と言うか、行き詰まりみたいなものを強く感じたんです。『本当のスポーツってこんなんじゃない。それを知らない、いや知るすべがない人が多すぎる!』ってね。そこで、いろいろな機会を使ってメッセージを発信するようになったんですよ。幸い、テレビの解説や、雑誌の連載なんていう仕事もくるようになって・…。徐々に今のような活動形態になった訳ですよ」
power
「抱かれた強い思いが、結果として今の白戸さんの根底にあるんですね。テレビの解説、というお話が出ましたが、白戸さんいえばスカパーでのジロデイタリアやツールドフランスの実況。とても面白く見せていただきました。あの実況は難しかったですか」
白戸
「うーん、難しいと言えば難しいけど、楽しいといえばめっちゃ楽しいですよ」
power
「どのような点でしょうか?」
白戸
「一応、数多くの情報を正確に伝えるという責任はあるし、不特定多数の人に見てもらう作品なので気は使いますよ。これでも(笑)でも、基本的に自転車レースが好きなので、素直に自転車ファンとしての部分を大切にしています。スタンスはあくまでも自転車ファンが、専門家と一緒にレースを見て、わからないところを聞いているという感じ。市川さんや今中さんとレースを見れるなんて、私は日本一ラッキーなサイクルファンでしょう!こんな気持ちを忘れないように心がけています。あとは、自転車レースを初めて見る人にも、興味を持ってもらえるような放送を心がけてますね。ともあれ、自分の趣味を満喫しながら仕事になるのは本当に幸せですよ」
power
「羨ましがりませんが、羨ましいです。にしても、それはいいですね。というのも、個人的に実況の方が淡々と言葉を続けるよりも、『すごい!』とか叫ぶのが好きなのです。」
白戸
「そうですか。あとは、自転車レースを初めて見る人にも、興味を持ってもらえるような放送を心がけてますね。ともあれ、自分の趣味を満喫しながら仕事になる事は本当に幸せですよ」
power
「羨ましいの一言で片づけさせてください。さて、白戸さんにこうしてインタビューさせて頂いて、避けることが出来ない部分に差し掛かりました。2001年のジロを見て、市川さんの解説と白戸さんの実況に引き込まれましたが、市川さんはどのような方との印象ですか」
白戸
「市川さんは職人ですね。常人では理解できない感覚で物事をかぎ分ける。当然コメントも鋭い。私がちょっと考えもつかない角度のコメントが出てくるので驚かせられるが、非常に新鮮でもあります。ただ、職人は求めるものも高いので、スタッフは大変なようですが、その分凄いコメントも聞けるので私は楽しみですね」
power
「ふーむー。深いコメント、ありがとうございます。今年も無茶苦茶楽しみにしておきます!あ、ところで今年も実況をされる予定でいらっしゃるんですよね?」
白戸
「もちろん今年もやりますよ。ワールドカップからはじまりジロ、スイス、フランス、ブエルタです。今年は特にワールドカップができるのが嬉しいですね。フランドルやパリ=ルーべなどが見れるなんて最高です。あれっ、ただの視聴者的コメントになってしまいました」
power
「もうー!・・・・と怒ってみましたが、意味がありませんでした。そんなことより、ワールドカップから始まる一連の放送、私もかなり楽しみです。ところで全然関係の無い質問ですが、白戸さんの好きな果物は何ですか?」
白戸
「マンゴー!これでマルガリータを作ったらそりゃもう~」
power
「あら、絶句されてしまいました。その続きは『そりゃもう、桃の方がおいしい』でしょうか。違います?やっぱり。私が桃好きなだけです。しかし桃もマンゴーも似てるんですよね。何を隠そう、私もマンゴー大好きです。今度“マンゴー VS 桃”の食べ比べをしてみよう・・・と考えただけでキゼツしそうです。バタッ。さて、スポーツをする上で最も大切なことは何ですか?」
白戸
「楽しむことを忘れない事でしょう。楽しむと言っても、ただゲーム的な楽しさだけではありません。例えば、、やってきた事が成果を結んだときの達成感や、出来なかった技が出来るようななっていく事、思うような連携がとれるようになるなんていうのもあります。でも、そんななかにある気持ちのいい部分を忘れたり、軽くみたり、否定したりすると本来のスポーツとは離れてくるのではないかと思います。所詮は遊びから発生しているもの、つねにPlayする気持ちを忘れないようにしないとね」
power
「選手はplayerであり続ける必要があるんですね。さて、日本の自転車競技も、ひょっとするとトライアスロンも、まだまだ発展の余地が残されています。スポーツ文化を発展させる上で、必要なことは何とお考えになっていらっしゃいますか?」
白戸
「文化って、人間が最低限営んでいくのには必要のない『遊び』の部分です。食べて、寝てというは違うでしょ?だからあまり現実論だけに執着してはいけないと思うのです。キーワードは『粋』。芸術も、スポーツもこの部分を大切にする気持ちが大事です。そして、周りにもそれを理解してもらわなければならない。それにはある程度の余裕が必要です。日本人には金銭的に余裕があるけど心理的に余裕がない。常に急いでいるし、どんなことでもすぐ損をしたと思う。道が込んでも、割り込まれても、金銭的にも…。なにか予想外の事に出合ってもそれを楽しむ余裕はないし、損をしたと思う国民になっているんですね。『おっ、こんな発見があった』くらいの余裕があれば・・・すると、道路許可のような物理的問題も、実業団廃止等々の経済的問題も前向きになれるはず。皆に『粋』を楽しむ余裕が欲しいですね」
白戸太朗氏は好感度バチグン!
power
「なるほど。余裕、ですね。それでは、最後に一つだけ質問させてください。好きな言葉は何ですか?」
白戸
「Take it easy!物事をネガティブに考えず、前向きに気楽に行きたいもんですな!」
power
「これからもスポーツナビゲーターとして、ご活躍を期待しています。今日はとても楽しかったです、どうもありがとうございました!」
白戸
「こちらこそ!」




気楽に楽しむことがモットーと言うさわやかさ爆発の白戸氏は、スポーツを全面的に肯定している。曖昧さの中で我々日本人はまだまだ楽しめていないのか。そして今後我々はどこはナビゲートされるのか?
そして止まることなく走り続ける白戸氏は自転車競技のファンだそうだ。そう、今回のインタビューから無理矢理に結論を引き出すと、自転車はやっぱりバチグンに面白いのだ!CIAO!

interviewer : power(2002/05/31)

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