自転車野郎の壮大な実験
今回の自転車世界一周中に、どうしてもしたい事がありました。限界まで走り続けるとしたら、何km走り続ける事ができるのか。ぶっ倒れるまで走り続けるとしたら、それはいったいどのくらいの距離なのか。そんな「壮大な実験」を、かねてよりオーストラリアでしたいと考えてました。(平地が多いので)睡眠をとらずにトイレと飲食は可。そんな条件付きで果たしてどこまで走れるのか。自己ベストは264km。フィンランド北部から欧州最北端のノールカップまで走った距離が最長記録。ここオーストラリアなら風と暑さに負けなければ、1000kmは走れない距離ではないだろう、そう思ってました。しかし・・・

<写真:大平原を舞台に、限界まで走ってみたかった。>
98年2月18日の朝でした。ガチンガチンに凍ったボトルの水を積んで1000kmランを目指して出発!
「氷があれば日中もうまい水が飲める。よーし。」
走り始めは快調。少し追い風が吹いておりペダリングも快適。40度を越す暑さの中、ハエと戦い、暑さと戦い、黙々とペダルを踏んでいました。途中寄った店の主人はとてもフレンドリー。コカコーラを買ったら氷を1kgもタダで持たせてくれた。重たいけど、嬉しい事このうえなかたった。この氷で長時間冷えた水を飲みつつ喉を潤しながら走る事ができました。
黙々と走り続けて、あっという間に夕方。デイリーウォーターズという小さな町に到着。ここまで走ると、走行距離は170km。町では腹に食料を詰め込み、その後も走行続行。ナイトランの始まりです。この夜、月明かりはなく、美しい満天の星空が広がってました。そして、キルギスと中国で出会ったオーストラリア出身のポールの言葉を思い出しました。
「ヨシ(僕のニックネーム)、知ってるかい?オーストラリアでは月明かりではなくて、星空の光で影ができるんだ。」
この夜、南十字星と天の川が眩しいくらいにくっきり見えていました。あのポールの言うとおりに星の光で影ができるものなのか、自分の影を探してみますが、それらしきものはないじゃないですか。
「影なんてありゃしない。考えてみれば、星の光は360度のすべてから当たっているし、影の出来ようがないじゃないか。ポールは嘘つきだったか。」
星の光の影は見えなかったのですが、流れ星は13ケも見ることができました。上から下に流れるものだけではなく、下から上にまるで星空を上って行くように流れていた星にびっくり。僕は流れ星を見つつ、南十字星を追いかけるように夜中もペダルを踏み続けました。
ポールは嘘つきだったと思いながら走っていました。が、ちょっと腰を降ろしアスファルトに手をかざしたときです。その下に、わずかな影ができてました。「影だ!」ポールが話してくれた「星の影」の話は本当でした。オーストラリアの星空はなんて明るいんだ。
夜中の12時。うつらうつらしながら居眠り走り。ようやく264km地点を通過。これで1994年の北欧での記録を更新。
「1000kmなんて、ちょろいちょろい。」
コーヒーを沸かし、それを飲みながらひたすら、今にも手が届きそうな南十字星を追いかけました。時間が経つと天の川は次第に向きを変え、そしてさそり座が見え始める頃になると、もうトロトロ。今にも眠りこけそうでした。再びコーヒーとパンを腹に詰め、走行続行。
そして305km地点に到着したのが、午前4時頃。ここで事実上のダウン。しかし、ちょっと横になって再び走りました。1日の累計走行距離300kmという表示を見るのが嬉しかったです。でも、太陽が昇り始ると、暑さと眠気とハエに負けそうになってしまいました。体を休めるにも大きな木陰は見つからず、

<写真:どこまでも続く道。暑さで頭ももうろうとしてきます。>
「暑い、暑い・・・」
とだらだら走行になってしまいました。ゆっくりと走り、なかなかペースは上がりません。
「2日目でもう限界か・・・。」
いやいやまだまだ。眠くなったり、元気になったり。街で腹ごしらえしては再び走る。 エリオットという町を過ぎて、午後4時過ぎにラナースプリングの町に到着。ここで429km。
「よし、ここで休憩だ。」
まだ頑張るぞ。
「飯でも食べてまた走ろう。」
そう思いながら地図を眺めていると、日本人旅行者が二人やって来ました。レンタカーに乗ってやって来た彼らは、僕を見ると、
「日本の方?」
「はい。」
「自転車で?どこから?」
「ダーウィンです。」
「そりゃすごいな。今夜はここで1泊ですね?」
「ん、いえ・・・。」
「冷たいビールでもパーっと飲みましょうよ!パーっと。」
「冷たいビール?!」
「おごりますよ」
「え、そうですか?そ、そうですね。」
1000kmへのチャレンジ・・・それははかない挑戦でした。単純な僕は、この「冷たいビール」と言う甘い言葉を掛けられ断念。なんて意志が弱いんでしょう・・・。壮大な試みは簡単に失敗。でもまあ429kmなら満足。それにせっかくのビールの誘いを断るのも悪い気がしますしねえ。それにまたいつの日か1000km走破にチャレンジすればそれでいいんです・・・。そんな機会が再びあるはずなどないのですが。
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僕を誘ってくれたのは土屋さんは僕と同じ信州出身。これにも感激しました。でももっと嬉しかったのは、寝ずに酷暑の中を走って来たあとのあの、「冷た~~いビール」。そりゃあもう、涙が出そうなくらい美味いものでした。
「決めたのに、簡単に挫折・・・」そんな経験ってありますよね?
<写真右:インスタントヌードルを冷麦のようにして食べてました。>
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す!凄い距離ですね。
荷物だって重いでしょうに・・・
写真の道の先まで行くだけで大変そうです。
でも良いですね。オーストラリア行ってみたいです。
待井さん、はじめましてフカオです。
先日、powerさんと一緒に食事をした際に、待井さんの話を聞かせていただきました。
このページに載っている子供が集まっている写真、マラウイだそうですね。また、今回の投稿はオーストラリアでの出来事だったようですが、ボクもオーストラリア住んでましたよ。マラウイもオーストラリアも星光、明るいですよね☆。