07_machii

飛脚号の盗難事件・・・。

1994年、8月22日、月曜日。この日は出来事は今でも忘れられません。北欧はベルゲンと言う町での事です。ユースホステルで朝食を済ませて街へ出掛けました。天気はすこぶるよく、青空マーケットを見て歩くと、とても清々しい気分になれました。出店に美しく陳列された魚や野菜、フルーツなどを見て歩くと今までの長雨走行も嘘のように感じられてくるほどでした。

新しいノースフェイスのテントを後ろのキャリアに括り付け、朝方スライドの現像をお願いした写真屋に向かいました。その間ものの5分位。店の前に立てかけるように自転車を置いただけで自転車にカギはかけませんでした。店のあった場所と言うのは、ベルゲンでも最も賑やかな一番の繁華街。この2ヶ月間、僕は北欧と言う国を完全に信用しきっていたんです。

「ありがとう。」

そう言って写真屋の人に笑顔で声をかけて外に出ました。そして自転車を置いたであろう場所を見ました。ところが、

「あれ、な、ない?」

ショーウィンドウの辺りに立てかけたはずの自転車、飛脚号がなくなっているではありませんか。

「ないじゃないか!ない、ない!!」

キョロキョロ見回してもどこにもありません。

「自転車が消えた。」

目の前は真っ暗になりまりました。盗まれたと頭の中で判断したその2、3秒の瞬間に色々な事が頭をよぎったような気がします。

「ああ・・・」

がしかし、人通りの多いのが本当に幸いしました。自転車を置いた場所に立っていたお姉さん、僕に、

「あっち、あっち。」

と、犯人の逃げた方角を指差してくれたんです。無我夢中で走り、通りの曲がり角の辺りで360度見渡しました。すると左90度前方に、犯人発見!なぜか、少し酔っ払った感じでフラフラと自転車に乗っているではありませんか。

「あ、いた!!」

銀のキャリア、青いフレーム。あれは確かに飛脚号。

「犯人だ、犯人だ、いたいた!」

約50m前方。僕は全力疾走で追いかけました。するとすぐに彼の所に追いつき、自転車のキャリアをガっと掴むことに成功。

「やった掴んだ!」


グイっと自転車を倒すようにすると、犯人は自転車からひょこりと降りました。なんだか、酔っ払ったような犯人で、僕の前から逃げる訳でもなく、反抗しない・・・かと思えば人の目の前でVサインなどをするではありませんか。

「な、なんなだこいつは?」

自転車が欲しそうでもなく、悪気もなさそうで、こちらは拍子抜け。よく見れば犯人のあそこ、チャックも全開状態。まあ、とにかく自転車、飛脚号は戻ってきたのだから、助かりました。そう思い平静を取り戻した。でも気が付けば足はガクガク、心臓もバクバク。そんな僕をよそに、盗んだ犯人はその辺をフラフラと歩いているではあーりませんかぁ。

「んー、これは・・・めったにある事ではないしなあ・・・よし。」
と、港周辺を歩き回っていた彼、犯人の写真を激写しました。

今では笑って済む盗難事件なのかもしれません。でももしあそこで10秒遅れていたら、そう考えると、本当に恐ろしいです。でも本当に未遂で終わって良かったです・・・・忘れられない盗難未遂事件@ノルウェーでした。

<写真キャプション>
飛脚号を盗んだ犯人と自転車が盗難に遭ったカメラ屋さんの現場写真。

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コメント1

@わ :

僕も自転車泥棒に追いついた経験があります。1996年の話です。

あの時は無我夢中での錯乱と、追いついた安堵と、自転車が戻ってきた喜びと、走った疲れで、
犯人を問いただすこともなく引き返しました。が、

今思えば犯人の眼鏡を外して地面に叩き付けるくらいの報復でもすればよかったかな?
とか乱暴なことを考えてしまって、

う~む

こんな考えでいいのかと悩む時があります。

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