07_machii

本当に苦しかった西アフリカのニジェール走行。後半

翌日24日。体にだるさと疲れはあるが、何となく調子がいい。朝食にお茶とビスケットを腹に入れてみると、戻す事もなかった。

「回復してきた。」

以前のだるさが消えている感じだ。この日の午後、商店のある方まで歩いてみる。以前に比べると断然早く歩ける。どうやら完全に回復傾向にあるようだ。嬉しい。

「よし、今夜は夕食をとろう。」

宿に隣接している例のレストランに行き、ポテトに牛肉と言う元気の出そうなメニューを注文する。胃に良いかどうかはともかく、うまそうだし、これなら食べれそうだ。

「よし、回復しそうだし、ついでにビールも飲んで元気を出そう。」

レストランにはテレビもあり、余り面白そうではないがニジェールの国営テレビ番組が放映されていた。そんな番組を見つつ、ビールを少しずつ飲んだ。しかしこんな体調の時に飲むビールはまずいなんてものではなかった。元気な時に飲むのとは雲泥の差。ニジェールの国営テレビを見ながら食事を待っていると、次第に目の前が暗くなっていく感じがした。何だかまたおかしい。

「これはまずいかもしれない。」

ほんの10分くらいだと思うが、レストランに座って待つ事が苦痛でならなかったので、夕食は前のように持ってきてもらうことにして、部屋に戻ることにした。椅子から立ち上がり、1歩、2歩、...更に5歩、6歩と歩いて、部屋の方に向かった。

立ち上がってから10歩くらい歩き、レストランの出口近くに差し掛かった時だった。私の目の前が真っ暗になった。意識もあるし、目も開けているのに何も見えない。私は平均台を渡るように両手を広げ、バランスをとって前へ進もうとした。しかし、ふらふら。2、3歩はそうして進もうと思ったが、真っ暗でフラフラ。ダメだった。

「あれ、お、お、おっとっと・・・」

バランスを崩し、あともう少しで倒れる、というその時、レストランのおばちゃん2人が私の脇に駆け寄り、支えてくれた。お陰で転倒せずに済んだ。このとき、私は生まれて初めて貧血体験をした。おばちゃんに支えられ少し歩くと、また正常に戻った。私は、

「大丈夫です。」

そう伝え、一人で部屋に向かった。まったくどうなってしまったのだろう。しばらくすると、青年コックが料理を持ってきてくれた。久々に見る牛肉料理はとてもうまそう。

「美味そうだなあ・・・。」
早速食べる。しかしこれが、

「うー、しょっぱい!」

塩が効きすぎている。半端でない。あの青年コックはこんな料理を作っているのか・・・。肉も堅く、まるで草履のようだ。見た目は本当にうまそうなのに。しょうがないので水を飲みながら口の中で薄めながらこの肉とポテトを食べた。半分程残し、明日の朝に食べることにする。この夜、心配していた嘔吐はなく、貧血だけ。胃の具合が良くなっただけでも気はだいぶ楽になった。どうやら本当に回復しているようで、とりあえずは一安心。

翌日25日の寝起きは、爽快だった。ほぼ正常に近い体調を取り戻した感じだ。
「ああ、嬉しいなあ。」

体が健康な事ほど嬉しい事はない。元気で走れることほど素晴らしい事はない。このとき心底そう思った。

「今日1日休めば大丈夫だろう。」

そう思いながら商店のある方まで歩き、買い出しを行う。オレンジにパン、卵などを買い、部屋で自炊して食べた。もう嘔吐などない。

「これなら明日は余裕で走り出せそうだ。」

この時すでに、ニアメに戻ってカメルーンヘ飛ぼうなどとはこれっぽっちも考えていなかった。完全に復活したのだ。元気の出た私はこの日の午後に、モロッコ以来、約1万kmを走ってくれたギアやチェーンなどを全て新品に交換した。こうすれば少しは飛脚号の重量も軽くなるはず。

「よし、明日からはまた走るぞ。」

苦しかった5泊6日はこうして幕を閉じ、8月26日に新たな気分でこのドゴンドッチを後に出発することになった。

ドゴンドッチで寝込んだ理由は未だにはっきりと分からない。栄養失調なのか、疲労が溜まっていたのか。・・・もしかしたら強力なマラリア予防薬「ラリアン」をファンタと一緒にすきっ腹に服用したのが原因だったのかもしれない。

本当に辛かった・・・ドゴンドッチ。この村の名は一生忘れそうにありません。

<写真上:辛かったドゴンドッチの宿。電気、水道があったのには救われた。>

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コメント2

若いって事はいいですよね。怖いもの知らずでどんな事にでも立ち向かっていっちゃう!妻もいなければ子供もいない、怖いもの知らずで邁進していたのがちょうどこの頃でした。

「ねえ、パパ、僕も自転車で世界一周するよ」

子供にそう言われたらどう返事を返そう・・・今も悩んでいる事柄のひとつです。それを考えたとき、改めて自分の父は本当に理解ある人だなあって、感謝の気持ちでいっぱいになります。

交通事故、強盗、行方不明、雪山遭難、あるいは沈没。自転車で海外に出て帰らぬ人となった人も多いんです。命がけでペダルを踏んでいる、と言っても決して過言ではないんですよね。

yaezoさんも走る国を選んで下さいね。ニジェールはお勧めです。

yaezo :

待井さん・・・・
読んでいるだけでガクブル・・・倒れそうになりました。
アフリカって本当に侮れませんね。
行ったことすらないわたしは、まさに未知そのものです。

待井さんって・・・凄いなぁ(突然)。
改めて言うのもなんですが、もう凄すぎです。
はぁ・・・もう言葉が出ません。

また今夜あたり「出会いが宝」のCDを見よう~っと!

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