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私が自転車を愛する理由」 by VAMO さん

VAMO さん

プロでもない。自転車には自由に乗る。
だから、愛する理由とは自転車に乗ってきた人生に他ならない。

かつて中学・高校は自転車通学で、高校にいたっては片道11Kmの通学路。
追い込まれないと行動できないオレにとって、朝はまさにタイムトライアルだった。

「あの交差点で信号をクリアしないと3分遅れる!」とか、
「あの橋より前に○○高校のあのコとすれ違わないとダメ!!」とか、

そんな訳の分からないノルマと戦いながらよくもまぁ6年間無事故でいられたもんだと我ながら感心する。
ママチャリでこれを毎日往復するのは正直しんどかったが、幹線道路から外れて田園をダラダラと走ったり、友人と談笑しながら寄り道し、フラフラとじゃれ合いながら走るのは好きだった。
(雨降る田園を吹き付ける冷たい風には泣きそうになるが…。)

その後、運動とは全く縁の無さげな東京の音楽大学に進学。
全身にみなぎるパワーを持て余していたある日、友人がTREKに乗ってさっそうと校内へ走ってきた。
まだまだクロモリが全盛の頃、そのシャープなフレーム、むき出しのチェーンリング、小難しそうなラピッドファイヤー、そしてスピード、どれを取ってもオレの好奇心を満たすに足りていた。
当然、友人にチャリを借りて試走してみる。自分の力がロス無くそのまま伝わる快感、そして想像以上に出るスピード、その一体感に感動し、酔いしれた。

「ぬぉー!この世にこんなイイ乗り物があったのか!!」

これがオレのMTBとの出会いであった。
ショップに連れて行ってもらうと、やれサスペンションだの、やれスピードメーターだの、知らない世界のものが並び、胸踊る。
しばらくしてSPECIALIZEDを購入。新しいモノ好きだったので、当時出始めだったアルミフレームを乗ってみる。サスも付いていたので乗り心地は柔らかすぎたが、若さで激走するには十分であった。

その後、奥多摩や鎌倉、伊豆、京都などよく走った。
ジリジリと死の光線照りつける夏、オレが死に物狂いで登る峠を、エアコンの効いた車に仲良さげなカップルが汗ひとつ流さず涼しそうに(そして自転車で走る俺を邪魔そうに)追い抜いていく。
車の中の、そんなカップルや家族の笑顔を見るにつれ

「オレ何やってるんだろ…」

と自問することもしばし。
しかし峠越えしたあとの川での水浴びや、沸かすコーヒーの一杯がものすごく好きだった。
勉強のためフランスに留学したが、プジョーのママチャリを3万円くらいで買ってパリを走った。右側通行をはじめ、日本と交通ルールが違うため警察に呼び止められることも多々…しまいには高速道路に乗り入れて、警察に確保されることもあった。

日本に帰ってきて、自転車屋でバイトをしながらMTBの購入計画を練る。
そして社会人として自覚が芽生える頃、イケナイ欲望が溜まってきた。

「MTBで日本一周したい!!」

そう思い始めてから、用意周到に身辺整理を開始。社会的束縛もある中、旅の準備を整えるのは容易なことではない。家族や友人にさえ旅に出ると言えだせないこともある。

ある日、妹が使っていたゲーリーフィッシャーが実家で使われず仕舞いになっていた。実は以前購入したSPECIALIZEDは都心との往復に使っていた際、盗難に遭ってしまっていたのである。

「妹には悪いが、これは今日からオレのもんである。」

ジャイアンなみの強引さでゲーリーフィッシャーをGET。
ホームセンターで買った安もんだったらしいが、分解してみるとフレームなどはなかなかの精度だ。
フランスから帰ってきた後、日本のMTB市場はアルミがシェアを拡大していたが、このゲーリーフィッシャーはクロモリのシャープなライン、堅固な感触を保持し、かつてオレが初めて乗った友人のTREKを彷彿とさせた。

ぜんぜんクラスが釣り合ってないが、こいつにはシマノのLXやXTを揃えてやった。
徐々に改造していくにつれ、結局元の姿を残していたのはもはやフレームだけ…。
プロの方からすればバランスの悪い申し訳ない姿だが、素人ながら組んだホイールや隅々まで整備したシフトやブレーキ、そして自分でひとつひとつチョイスして組んだ愛車にかなうものは無い。
新しい品物を見ては、
「これを装備したらどんな走りになるのだろう?」
と思いながら、安モノでも自分の思いをひとつひとつパーツに込め、整備していく。そして思い通りに仕上がった時の自転車の愛らしさは格別だ。

その後オレのゲーリーフィッシャーは、無事日本一周を達成してくれた。

東京ではメッセンジャーもやったが、自転車に乗る動機が違うのか、愛車に乗ってもぜんぜん楽しくなくて、すぐ辞めた。一言で自転車が好きと言ってもいろいろあるのだろう。
オレは青い空が好き、山も川も野宿も、そして外で食べるおにぎりやコーヒーも好き。
さて、何で行こう?車やバイクでは早すぎる。歩きでは遅すぎる。

「そうだ、自転車で行こう!」

自転車をパートナーとして喜びを分かち合う。オレの人生をそうさせてくれるのが自転車なのである。

投稿者 経歴

  • 名前 VAMO
  • 1975年 群馬県生まれ
  • 1980年 自転車事故初体験で前歯折る
  • 1994年 MTB初購入も空しく2年目に盗難
  • 2000年 自転車屋でパンク修理に明け暮れる
  • 2004年 ゲーリーフィッシャーで日本一周
  • 2005年 現京都在住 クラシック作曲家とWEB屋を兼業

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