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書評:「自転車チャンピオン」 ルイゾン・ボベ著(三田文英訳)

問い:
君はルイゾン・ボベ(1925-1983)を知っているか!

え、知らない? 1953-1955ツールドフランス三連勝の選手を知らないのですか? でもそれが普通ですよね。50年も前の話ですし。

そもそも1959年に出版されたこの本がどうして今になって日本語で出版されるのでしょう。その理由は訳者後書きに記されているのですが、既に未知谷から出版されている 『総合ディレクター、ツールを語る』 の中でジャン=マリ・ルブランが以下のように述べているのが気に懸かっていたいたとき、訳者がフランスの古本屋のサイトを見ていたらこの本が出品されていたからだそうです。

「…実際、当時の私の自転車の知識と言えば、ルイゾン・ボベの『自転車チャンピオン』という「グリーン文庫」 の一冊を読んで得た知識だけだったんです。[…]大事なのは、この本が実にためになったということです。[…]書かれてから三十年経った今でも十分通用する内容を持っています。」

昔の自転車選手にとってのバイブルといったところでしょうか。

この本はルイゾン・ボベのいわば自伝だと思うのですが、著者である彼の意図するところは第十章でこう記されています。
「この本での僕の目的は、自分の人生を物語ることではなく、いくつかの冒険物語(アヴァンテュール)を通して、「自転車選手という職業の偉大さと束縛」について、正確なイメージを伝えることである。」

書かれてから五十年弱経った今、ロード選手に十分通用する内容を持っているかどうかはわかりません。でも読み物として軽い気持ちで読むと充分に面白く、彼の伝えたかったイメージもポンポンと伝わってきます。それよりなによりルイゾン・ボベが強くて痛快です。

ボベは、自転車選手を目指す上で絶対必要な条件を二つ挙げます。

1) 自転車というものに対する熱烈な愛情(この辛い職業に就くための訓練は、この愛情がなくてはとても耐えられないから)
2) 完璧な健康

・・・いつの時代も自転車競技は辛いんですね。

この本には写真が一枚も無いかわりに小河原政男氏による美しい挿絵が含まれていますが、これがこの本の雰囲気作りに大いに貢献しており、時代性やユーモアを感じさせてくれます。

ソファに座ってゆっくりとくつろぎながら読むのに適した一冊です。

☆☆☆★★(☆=20点、★=5点)

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